梅ジュース作りには、科学がいっぱい詰まっています。
氷は膨らむ
梅ジュースはいろいろな作り方がありますが、私はまず梅を凍らせます。これは、梅の中の水分が凍ることによって膨らみ(膨張)、梅の実の細胞を壊してくれることを期待して行います。細胞が壊れることよって梅の中の水分が出やすくなり、梅ジュースができるという訳です。
しかし、この「水が凍ると膨らむ」というのは、実に不思議な現象なのです。水は温度を上げると水分子の運動が活発になって膨らみます。そして、温度を下げれば、水分子の運動が減少して縮みます。ところが、4℃のあたりから、再び膨らむというのです。凍ると膨らむという物質は、すごく少ないのだそうです。水が凍ると膨らむ理由は、ぜひ、ご自分で検索して調べてみてください。
さて、次に凍らせた梅の周りに、上白糖(砂糖)を詰め込みます。ここにはどんな科学が潜んでいるでしょう?
浸透圧
ここには「浸透圧」という科学が潜んでいます。凍った梅が溶け始めると、周りの上白糖を溶かして濃い水溶液ができます。水は濃度の薄い方から濃い方に向かって移動する性質があります。これが「浸透圧」です。このため、梅の中の水分が外側に出て、梅はシワシワにしぼんでいき、梅ジュースができるのです。
砂糖漬けはカビない
また、砂糖漬けにした食品はカビが生えにくくなります。これも「浸透圧」が関係しています。カビの細胞よりも砂糖漬けの濃度が高いと、細胞から水分が出てしまうので、カビも生きられないのです。ただし、ジュースに浮いている梅の実の表面にカビの細胞が着くと、菌糸を伸ばして砂糖を栄養として増えてしまうことがあるので、完成しても時々ビンを振り動かして、梅の実にジュースがかかるようにするか、梅の実を取り出すようにしてください。
青梅は有毒?
ところで、梅の実にはアミグダリンという青酸配糖体というものが含まれていて、一度にたくさん(100~300個)食べると有害です。しかし、黄色く熟した実はアミグダリンが減りますし、砂糖や塩漬けにして加工したものも、アミグダリンが分解されて、食べたり飲んだりしても無害になるのだそうです。
参考サイト
サントリーのエコ活「水大辞典」
日本植物整理学会「みんなのひろば〉植物Q&A〉砂糖水とカビについて」
ウィキペディア「アミグダリン」
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