ひだまりカフェでおやつを食べる子どもたち

 島田市社会福祉協議会が主催する「支え合い講座」で放課後ひだまり教室の事例を発表させていただきました。以下、発表資料です。長文ですが、お時間がある時にご高覧いただけると幸いです。

子どもたちを地域で見守る居場所を目指して

 ご紹介いただきました松浦静治と申します。私は大学卒業以来、約20年間、小学校の教員をしてまいりましたが、2019年3月、今から2年半前に、思いがあって早期退職いたしました。それ以来、子ども達を地域で育む仕組みが作りたいと思って活動をしてまいりました。 今日は、その活動の中から、子ども達を地域で見守る居場所作りについてお話させていただきます。

せっかくの施設が分断の原因に

 島田市には、老人ホームがあります。障がい者の作業所もあります。放課後児童クラブも子育て支援センターもあります。しかし、私は疑問に思っています。なぜ、それらが別々なのか?なぜ、同じ場所ではいけないのか?それぞれが別々の場所にあるがゆえに、分断が起こってしまっているのではないかということを。

みんなの居場所を作りたい

 それぞれを、別々の場所に作るのではなく、一か所にしたらよいのではないか。ですから、私は「みんなの居場所」がつくれないか?と思っていました。

みんなの居場所ひだまりカフェ

 教員を辞めて半年ほど経った2019年の9月に、ある広報誌で「島田市の子ども食堂」が紹介されていました。その中にひだまりカフェが紹介されていました。「へぇ~、金谷に子ども食堂があったんだ。知らなかった。」と思った私は、すぐにひだまりカフェに行って「何か手伝えることはありませんか?」と聞きました。すると、「ここは障がい者のためのグループホームだけど、障がい者だけの施設にしたくない。みんなの居場所にしたい。子どもたちがもっと来てくれたらうれしいんだけれど」というお話でした。私が以前から考えていた「みんなの居場所」を実現しようとしている人がいることにうれしくなりました。そして、「この場所で、子どもたちの宿題を見る塾のようなものをすれば、きっと子どもたちが来るようになりますよ」と提案しました。

放課後ひだまり教室

 そして、2020年1月7日から、グループホーム陽だまり内の和室を借りて、「放課後ひだまり教室」を始めました。これは「放課後児童クラブ」のように、学校が終わった子が直接ひだまりに帰ってきます。そして、宿題をしたり、宿題が終わったら遊んだりして、夕方、親が迎えに来たら一緒に帰るという形の民営の塾です。開設して半年経った2020年の7月には、利用登録者が40人ほどになり、毎日20人くらいの子どもたちが来るようになって、新規受け入れができないほどになりました。

子どもと障がい者が一緒に過ごす仕組みを作ればふれあいが生まれる

 グループホーム陽だまりは障がいのある方たちが生活しています。だいたい午後4時くらいに、みなさんそれぞれのお仕事から、陽だまりに帰って来られます。その時に、放課後ひだまり教室に来ている子どもたちとのふれあいが生まれます。

 ある入居者さんですが、何か不安なことがあるとパニックになってスリッパを投げるという人がいます。それを見た子どもたちが「怖い…」と言って怯えていました。そこで、私は子ども達を集めて、「あの人は、パニックになってスリッパを投げるけれど、実は投げる方向を考えて投げているんだよ」と話をしました。その後、子ども達は「わかった!」と言って私に報告に来ました。「今ね、スリッパを投げようとして、ガラスの方だったから、向きを変えてソファーの方に投げた!」というのです。「そうだよ。あの人はパニックになっても、君たちの方にはスリッパを投げないから大丈夫だよ」と話して聞かせたら、子ども達は安心したようでした。そのうちに、4年生の女の子でしたが、その人がパニックになった時に、「どうした?何かあった?大丈夫だよ」と声を掛けてくれるようになりました。障がい者の方と、子どもを分けずに同じ場所で過ごす仕組みを作れば、このような交流が生まれるのです。

手縫いでお手玉作り

 ご近所にお住いの地域の方が、ボランティアで来てくださって、子ども達に手縫いのお手玉作りを教えてくださいました。子どもたちは針と糸で布を縫うという体験をとても喜んで、一生懸命に作りました。「今度、いつ来てくれる?」と、次に来てくれる日を楽しみにしていました。

将棋に挑戦!

 また、夏休み中でしたが、子ども達が「将棋をしてみたい」というので、ご近所の方にお願いして、将棋を教えに来ていただきました。初めてやってみるという子もいましたが、とっても優しく教えていただきました。

パン作り体験教室

 また、ひだまりカフェを会場に、誰でも参加できる講座を開催しています。パン作り教室、梅干し作り教室、みそ作り教室、そば打ち体験教室、門松作り教室などを実施しました。その時も、障がいのある子もない子も一緒になって講座をやることで、ふれあいが生まれています。

 学校に取り組みを期待する声を時々聞きます。「障がい者への偏見をなくすために、学校で福祉教育をもっとやって欲しい」とか、「地域のお年寄りと交流するために、学校の子どもたちがお年寄り施設を訪問して歌を聞かせる」というようなことが時々言われますが、ほとんど効果はありません。なぜなら、年に1回や2回やったって意味がないからです。このように、日常的に障がいがある人とも、高齢者ともふれあうことで、お互いの信頼関係ができてくるのです。

ボランティア参加

 今年2021年の夏休みのひだまり教室には、ボランティアで子ども達の見守りをしたいという人が来てくれました。毎日という訳ではありませんが、それぞれの方が都合のつく時に来てくれました。大人が2人、大学生が3人、高校生が1人、中学生が3人の9人でした。私は厳しい先生なので子どもたちはあまり寄ってきませんが、ボランティアさんたちは優しいので、子ども達はとても喜んで寄っていきます。「ねぇ、次、いつ来てくれる?明日も来て!」と、ボランティアさんを困らせることもあるほどでした。

 今は、新型コロナの対策で、あまり大きな声で「ボランティアに来てください!」とは言えませんが、ふだんの感染対策をしっかりされている方なら、ぜひ、ボランティアに来て、お手伝いしていただきたいと思っています。

 今は、感染症対策で、和室ではなく、グループホームの端っこの個室を借りて放課後ひだまり教室をしています。日によって人数がまちまちですが、5人~12人くらいの子が、学校がある日の毎日、午後2時半~午後5時くらいに放課後ひだまり教室に来ています。

 新型コロナの影響が収まったら、もっと多くの人にボランティアを呼び掛けて、お手伝いに来ていただき、この場所で地域のみんながふれあえる、「みんなの居場所」が作れたらよいなと思っています。

お気軽にお問合せください!

ご清聴ありがとうございました。

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