2022年11月30日の島田市社会福祉大会にて行われたシンポジウムの報告が、「みんなのふくしだより」(No124令和5年1月号)に掲載されました。

以下、記事を転記いたします。

令和4年度シンポジウム
インクルーシブ教育
~地域の中で共に育つ~

 11月30日の島田市社会福祉大会にて、シンポジウムを実施いたしました。
 子どもたちが日常の中で、障がいの有無に関わらず共に過ごせる場所があることで、互いを認め合い、相手のことを想い行動できる心を育むため、市内でもインクルーシブ教育が始まっています。

『地域の中にみんなの居場所を広げたい!』

コーディネーター 松浦まつうら 静治せいじさん(Studyスタディ Likeライク Playingプレイング)

 子どもたちが障がいのある人と出会う機会や、様々な体験の機会を提供し、地域でどんな子も育む仕組みを創りたいと思い、小学校教員を退職し、Study Like Playingを結成しました。障がい者のグループホームの中のカフェに併設した「放課後ひだまり教室」では、スタッフや地域ボランティアが、子どもたちの学習支援や体験教室を実施しています。子どもたちは一緒に過ごす中で障がいについて知り、それを受入れて、自然と接することができるようになっていきました。

シンポジスト 細田ほそだ 翔生しょうさん(インクルーシブ スポーツ クラブ)

 インクルーシブとは「あらゆる人が排除されないように援護する…」とありますが、多くの人は排除しているつもりなどなく、ただ知らないということだと思います。お互いに理解し合う相互作用がインクルーシブには大事だと感じています。私が実施するインクルーシブ スポーツ クラブでは、ボッチャや楽器演奏など活動は多岐に渡り、障がいの有無も年齢も国籍も関係なく参加しています。「やってみたいこと」を「みんなでやってみよう」と子どもたちが自ら実現しています。楽しさを分かち合う経験からお互いを知ることに価値があると感じています。

シンポジスト 柴田しばた 明子あきこさん(リアンの会)

 高校1年生の息子の理生まさきは、車いすを常用しており、支援学校の寄宿舎生活をしています。理生まさきは小学校入学時に支援級判定でしたが、同世代の子と過ごし、社会性を身に付け、お願い上手な人になって欲しいとの想いから保護者同伴を条件に通常学級へ入学しました。同級生の子たちが障がいがある理生まさきと過ごすことで、相手を知り、相手の立場で考え行動に移してくれた場面がたくさんあり、共に過ごす事の相互作用を感じました。ハンディのある子が地域で学び生活していることを知っていただき、インクルーシブ教育の理解が広がると良いなと思います。

シンポジスト 池谷いけがや 愛子あいこさん(あいかい)

 今年、社協からの相談をきっかけに、あい愛サロンの会の農業体験で、障がいのある方の受け入れを始めました。障がいのある子の親の会、リアンの会からもたくさんの子どもたちが参加し「愛の芽の会」が発足しました。地域ボランティアの方が、障がいのある子たちも同じように体験ができるようにと、スロープやバケツプランターを作ってくださっています。回を重ね、障がいのある方が今度はスタッフとしていきいきと活動してくれるようになりました。みんなが同じように、一緒に体験できる、楽しい居場所が地域にあることが、本当の意味でインクルーシブなのだと感じます。

Q.通常学級で柴田理生しばたまさきさんがみんなと一緒に学ぶ時、大変だったことは?
A.保護者同伴を条件に入学を許可してもらいましたが、家族の力を借りてなんとかやってきました。学校生活での安全を確保するため、ボランティアによる見守りも検討しましたが、実現は難しい状況でした。しかし、本人はこの経験から人と積極的に関わり、様々なことにチャレンジできるようになってきていると感じています。(柴田さん)

Q.障がいのある子を受入れる側として感じていることは?
A.まずは、本人、保護者、学校の3者の意見を分かち合うことが大事だと思います。学校は安全面をとても重視します。それは本人や学校の教員を守るためでもあります。ただ、安全でないからできないのではなく、互いの想いを汲み取って、どうしたらできるようになるのかを考えることがとても大切だと考えています。それが互いに尊重し合って、分かち合うということだと思います。(細田さん)

Q.地域の中で一緒に活動をしていくときにどんな効果を感じますか?
A.様々な障がいの特性があって、それをなかなか理解されないという現状があると思います。しかし、地域の中で一緒に過ごすことで「あそこのあの子のことならわかるよ」と受け止めることができる。そういった機会をもっともっと小さい時から作ることが大事なのだと学ばせてもらっています。(池谷さん)

来場者からの質問・感想

Q.障がいについての勉強は、義務教育ではやらないのですか?
A.障がいについて学ぶ機会はありますが、当事者とは年に数回の交流をする程度で、日常の中でふれあう機会はまだまだ少ないのが現状です。

〇私の孫は生まれつき障がいがあり、見た目には分かりません。幼い頃から、自分から周りに「助けて」が言えるように言い聞かせてきました。小学校の運動会で、自分からクラスメイトに自身の障がいのことを説明し、助けを求めることができ、そして、次の年にはクラスメイトから孫の障がいについて他の知らない子たちに説明をして、助けてくれたということがありました。まさにインクルーシブだったのだと、今日のシンポジウムを聞いて胸が熱くなりました。

島田市社会福祉協議会の「みんなのふくしだより」(PDF)

島田市社会福祉協議会の公式ホームページ

インクルーシブスポーツクラブの紹介

島田市障がい者福祉連絡会のHP

あい愛サロンの紹介

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