漢字は学習への姿勢を表している
漢字を雑に書く子がいます。「面倒臭いから」「早く終わらせて遊びたいから」。私(松浦)はこれを「もったいない」と思うのです。雑にやっても、たいして覚えもせずにやりすごすだけです。どうせやらなければならないのなら、しっかりやって、ちゃんと覚えたらよいと思うのです。これらは、そのまま、その子の学習への姿勢(気持ちの有り様)を表しています。「学習をしっかりやって、身に付けよう」という思いはありません。やらされているから、しかたなくやっているだけです。早く終わらせたいだけのやっつけ仕事です。実に「もったいない」。
丁寧に書くと楽しくなる
私の丸付けが厳しいので、子どもたちは漢字をシブシブ書き直します。それでも、翌日も雑に書きます。またたくさん直されて、シブシブ書き直します。最初は私と子どもの根比べです。そのうちに「先生、今日は丁寧に書いたよ。自信ある!どう?」とノートを持ってきます。ここでまたコテンパンに直される子もいますが、子どもの意識は変わってきます。どうすれば直されないのか?自分の文字のどこが悪いのか?子どもの探究が始まるのです。
そこで、すかさず良くなったところをほめます。「お!最初の方は丁寧に書いたね。最後の方は雑だけど。」「中心を意識して書けるようになったね。」など。私は子どもが努力していない時にはほめません。努力したことをほめます。子どもはほめられると嬉しいようですが、次も頑張るとは限りません。また「面倒臭さ」に負けて雑に書いてきます。
その繰り返しですが、それでも3か月くらいすると、子どもの字はだんだんと丁寧に、形が良くなってきます。そこで、タイミングを見計らってほめるのです。「見てごらん。前の字と、今の字。上手になったね。」
こうなると、あとは子ども自身が「きれいな字」を書くことが楽しくなってきます。自分が書いた字の形が気に入らないと、消しゴムで消して書き直すようになってきます。「先生、この字、きれいに書けたと思わない?」と聞くようになったら、そこで敢えて辛口の評価をすることもありますが、もう、子どもはきれいな字を書くことが楽しくなってきます。
きれいな字を書くと他の教科も伸びる
漢字ノートが丁寧になってくると、他の教科の理解もよくなってきます。学習への姿勢(気持ちの有り様)が変わってくるからです。「雑にやるより、丁寧にやった方が得」「丁寧にやるって楽しい」「自分は丁寧にやりさえすれば、できるようになる」など、いつも私が言っている言葉が、子どもの実感になってくるのです。学習はできるようになると楽しくなります。また、ひだまり教室では、「わからない子に教えてあげて」と声を掛けるので、教えてあげられることも嬉しくなります。
そうやって、子どもの成績は上がっていくのです。
えんぴつの持ち方も大事
きれいな字を書くには、えんぴつの持ち方も大事です。丁寧に書こうとするけれど、きれいな字にならない子は、えんぴつの持ち方が悪い場合がほとんどです。この頃は、小学校の先生で、えんぴつの持ち方を丁寧に指導する先生は少ないのではないかと思いますが、私はえんぴつを良い持ち方で使わせたいです。
教育には「文化の伝承」という側面があります。えんぴつの持ち方も文化だと思うのです。今までたくさんの人がえんぴつや筆を使ってきて、やはりこの持ち方が筆先を細かく動かせる良い持ち方だから、伝承されてきたのです。そして、えんぴつの持ち方は箸の持ち方と同じです。
唯一無二の方法だとは思いませんが
私のこの「文字を丁寧に書く」というやり方が、子どもの成績を上げる唯一無二のやり方だとは思いません。要は子どもが学習を楽しいと思って、自ら取り組むようになれば成績は上がります。先生によっては、子どもをやる気にさせるのが上手な先生もいます。でも、どうしたら子どもの成績を上げられるか、自分なりの方法を持っていない先生もいます。
成績を上げるとは…
私がここで言う「成績」とは、学校のテストの点数です。それが必ずしも「生きる力」とは限りませんが、日本の教育システムでは、やはり点数がとれないと将来の進路の選択肢が狭まってしまうことがあります。中学校で働いた時、学習の未理解の部分があって、苦しい思いをしている子を何人も見ました。やはり、小学生のうちから、積み残すことなく、学習をしっかりと理解させてあげたいと思っています。
※私は漢字ドリルの文字を採点(○×)の基準にしています。
※長文に関わらず、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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