静岡東高校の探究的な学習のいくつかあるテーマの内の「教育・子ども」をテーマとしている生徒さんたちの講師をさせていただいています。
2024年2月2日(金)に、各グループの研究したことを発表するポスターセッションに参加してきました。
生徒たちが追究した課題は
◯日本に生涯学習を普及させるには?
◯全国で学力に差が出るのは?
◯なぜ日本の小中学校は減少している?
◯子どもにとって意味のある教育とは?
◯日本の教育を良くするために私たちにできることはなにか?
◯教員の負担を減らすにはどうしたらいいか?
◯ぼくたちが望む理想の授業
◯幼稚園での教育を発達させるには
◯不登校の子どもが増えているのに、フリースクールの利用が増えない理由は?
◯自立のきっかけをつくるには
◯体験学習が増えると生徒たちは更に学校が楽しくなるのではないか?
◯子どもの居場所を増やすには?
生徒たちが疑問に思っていることに対して、その原因を究明するために誠実に探究したことが伝わってきました。
講評で伝えたこと
最後に講評の役割が回ってきました。私が伝えたのは
『皆さんが課題として設定したことは、本当に追究すべき大切なテーマだと思います。
どのテーマも奥が深く、いろいろな要因が複雑に絡み合っているのですが、あえて端的に言うのらば、その原因は「お金」と「制度」です。
日本で生涯学習が普及しないのも、小中学校がどんどん減っているのも、フリースクールの利用者が増えないのも、教員の負担が減らないのも、そこに「お金=税金」を掛けていないからです。
そして、体験的な学習が増えず講義型の授業が多いのは「制度」の問題です。この場合は「学習指導要領」と「高校・大学の入試」という制度の問題です。
学校の先生方は無神経で、平気でつまらない授業を君たちに押し付けている訳ではないのです。体験的な授業をやっていたら、教科書の内容が終わらないのです。多過ぎる学習内容を何とかして伝えるために、先生方は本当に大切なことに絞って皆さんに伝えようとしています。しかし、残念ながら「授業が面白くない」と言って聞いていない人もいるのです。
私たちがやるべきこと
では、私たちはどうしたらいいのでしょうか?
当たり前を疑う
その一つは「当たり前と思っていることを疑って欲しい」ということです。例えば、高校に来て毎日6時間くらい授業を受けていてそれが当たり前だと思っていますが、それよりも、この時間にフリースクールへ行って不登校の子たちの相手をした方が学びが多いかもしれません。あるいは、駿府公園に行って外国人の方に「ガイドをしましょうか?」と英語で話し掛けた方が将来に役立つ学びが得られるかもしれません。
ちょっと何かをやってみる
二つめは「何か具体的に行動をしてみて欲しい」ということです。どんな小さなことでもいいです。例えば、朝、毎日お家の人に起こしてもらっていたら、自分で起きてみるとか。料理をお家の人に作ってもらっているなら、自分も手伝ってみるとか。いつもゲームをしているなら、ちょっと違うことに挑戦してみるとか。何かちょっと行動を変えたら、人生の先がちょっと変わってきます。ちょっとの変化がいつか大きな変化になって、自転車で日本一周する人になるかもしれませんし、海外で活躍する人になるかもしれません。』
探究的な学習の時間
先生が一方的に授業をするのではなく、生徒が自分で課題を設定し、探究的に学ぶ授業が高校で始まっています。この授業を積極的にやった高校は生徒の学習意欲が増して成績が上がるとも言われています。しかし、課題が多岐に渡るため先生方の負担が大きくなることもあるそうです。
でも、これまでの暗記中心の入試はいずれ終わります。生徒が自ら課題を設定し、探究し、それをアウトプット(発表・行動)する学びが求められています。
今回は静岡東高校の探究的な学習に関わらせていただいて、とてもありがたかったです。生徒たちの学びの参考になれば幸いです!