子どもの居場所支援のイメージ

改正児童福祉法が2022年6月8日に成立し、2024年4月から施行されます。

今回の改正のポイントは受け取る人によっても違うと思いますが、私にとっては①「こども家庭センター」の設置と、②「子育て世帯訪問支援事業(訪問による生活の支援)」③「児童育成支援拠点事業(学校や家以外の子どもの居場所支援)」④「親子関係形成支援事業(親子関係の構築に向けた支援)」の新設に大きな関心があります。

①こども家庭センターの設置

これまでは「子ども」と言っても、妊娠出産から乳児のころは”健康づくり課“、幼児の頃や保育園は”子育て応援課“、幼稚園や小中学校は”教育委員会“、障がいがあったり、経済的援助が必要だったりしたら”社会福祉課“という具合に、窓口がバラバラでした。

その窓口を「こども家庭センター」に一元化して保護者の利便性を高めるだけでなく、子どもや家庭支援を担当課ごとにバラバラに行うのではなく、包括的・一体的に行うことが期待されます。

島田市も、目下の目標はこの「こども家庭センター」の設置だそうです。

この「こども家庭センター」にはセンター長の他に”統括支援員とうかつしえんいん“を置くことになっていますが、この”統括支援員”こそ、私(松浦)が適任だと思っています。教員経験が20年あり、教育委員会に4年間出向して行政経験を積み、民間での「居場所事業立ち上げ」の経験があるという人を、私は他に知りません!

私をご指名ください!

島田市役所からお声が掛かるのをお待ちしています!

②子育て世帯訪問支援事業(訪問による生活の支援)

訪問家事サポートで働く母親もニッコリ!

居宅に訪問して調理、掃除、洗濯、買い物代行等の家事、子どもの送迎、子育ての助言などの支援を行う事業です。

この訪問支援をすると補助金が1時間当たり1,500円、交通費への補助が1件当たり930円出るというものです。支援対象が生活保護世帯なら2倍の補助が出ます。さらに1事業所当たり年間56万4千円の事務費補助が出ます。

対象は
① 保護者に監護させることが不適当であると認められる児童のいる家庭及びそれに該当するおそれのある家庭。
② 食事、生活習慣等について不適切な養育状態にある家庭等、保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童のいる家庭及びそれに該当するおそれのある家庭。
③ 若年妊婦等、出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦がいる家庭及びそれに該当するおそれのある家庭。
④ その他、事業の目的を鑑みて、市町村が特に支援が必要と認めた家庭(ヤングケアラー等)

これが島田市で実施されたらすごく良いのですが、実はそう簡単なことではありません。

それは、補助の負担割合が国1/2、県1/4、市町村1/4と決まっているからです。

例えば、委託を受けた事業者が、この支援の対象となる依頼を週2回2時間ずつ実施したと仮定してみましょう。
訪問支援費用は、1時間あたり1,500円×2時間×週2回×52週=31万2千円。
交通費が、1件あたり930円×週2回×52週=9万6720円
事務費が、56万4千円
1年間で97万2,720円の補助が受けられることになりますが、島田市が24万3,180円を負担する必要があります。この予算を島田市が確保してくれるかどうかで、この支援ができるかどうかが決まります。もちろん、この支援の対象となる依頼がもっと多ければ、もっとたくさんの予算が必要になります。これは、私たち市民が島田市役所の担当課(子育て応援課)に働き掛けていかなければなりません。

③児童育成支援拠点事業(学校や家以外の子どもの居場所支援)

養育環境等の課題(虐待リスクが高い、不登校等)を抱える主に学齢期の児童を対象に、児童の居場所となる拠点を開設し、児童に生活の場を与える(居場所の提供、食事の提供、生活リズム・メンタルの調整、学習支援)とともに児童や保護者への相談等(関係機関との調整)を行うものです。

みんなの居場所ひだまりハウス 学習支援

この支援は食事や入浴、就寝などの生活できるレベルを求めています。公民館などではなく、一軒家かグループホーム、介護施設のようなところを想定していると思われます。正午から20時の8時間、年間250日の開催を想定しているようなので、かなり大きな事業です。どうせなら午前中にも拡大してフリースクールもここでやったらいいと思っています。ただし、私が心配しているのは、対象が「家庭や学校に居場所がない子」としていることです。そこに限定することがあってはならないと思っています。家庭や学校に居場所があろうが、なかろうが、誰でも来ていい居場所でなければなりません。誰でも来ていい居場所であって、「家庭や学校に居場所がない子」も来ることができて、そこでたくさんの人とつながることができる居場所でなければ意味がありません。さらに言えば、たくさんの人とつながるのが苦手な子も、少人数でもよいから誰かとつながって心の安定を得られる居場所にしなければならないのです。

島田市の場合は、私の運営している「みんなの居場所ひだまりハウス」をちゃんと居住できるようにリノベーションするとか、一軒家で居場所を実施している人に受け入れてもらう方法。あるいは認定NPO法人フリースペース・うぇるびーが運営している障がい者のためのグループホーム「陽だまり」のようなところか、宿泊可能な高齢者のケアホームなどと協定を結んで、必要な時に受入れてもらうという方法もあるかもしれません。ただし、それらの施設には、いつもいろんな人たちが自由に出入りできることが重要です。また、子どもを受入れて、安心した生活が送れるようにするためには、子どもと迎え入れるスタッフが顔見知りで、信頼関係が構築されている人が望ましいでしょう。それを実現するためには「こども家庭センター」の職員が、いざという時には受入れスタッフになるということが理想です。

リノベーションが必要な一軒家

子どもの居場所の整備のために1か所当たり1,739万2千円の補助が設定されています。一軒家を建てることは無理かもしれませんが、リノベーションならかなりのことができそうです。ただし、その負担割合が市町村で1/12つまり144万9,333円。そして事業者が1/4つまり434万8千円必要になります。島田市や事業者はこれが確保できるのかが大きな問題です。しかし、そこまで費用を掛けなくても場所は確保できると思っています。

さらに、子どもの居場所支援臨時特例事業(運営費)という補助金があります。
専門職を配置しない場合1か所当たり1千459万2千円。
専門職を配置した場合は1か所当たり1千585万円。
賃借物件の場合は1か所当たり300万円。
開設初年度は準備経費加算として1か所当たり400万円。

専門職を配置しない場合で見積もると、年間合計2千159万2千円。これが補助金でもらえたら、ものすごくいいです!

しかし、市町村の負担割合が1/4なので、539万8千円。これを予算計上できる自治体が果たしてあるでしょうか。

この改正児童福祉法の補助額は、1日8時間、年間250日という施設をモデルにして設定されているので、大きな金額ですが、私がやっている「みんなの居場所ひだまりハウス」に食事や入浴、就寝などの生活ができるようにリノベーションするとして、

専門職を配置しない場合1か所当たり360万円(1か月当たり30万円)
賃貸物件の場合、1か所当たり72万円(1か月当たり6万円)
開設初年度の準備経費加算を400万円で計算し直すと、
合計832万円。市町村の負担割合1/4で208万円。

これでも予算計上はなかなか難しいのが現実でしょうが、「子育てのまち」を売りにしたいのならば、他の市町に先んじてこのくらいの予算は計上してもらいたいものです。

④親子関係形成支援事業(親子関係の構築に向けた支援)

子育てサークル(イメージ)

この事業の概要は「子どもとの関わり方や子育てに悩みや不安を抱えている子育て家庭に対して、親子の関係性や発達に応じた子どもとの関わり方等を学ぶための講義、グループワーク、個別のロールプレイ等を内容としたペアレントトレーニングを提供することにより、健全な親子関係の形成を支援するとともに、同じ悩みや不安を抱える保護者同士のよこのつながりの構築を支援する」とあります。

母親のバランスボールエクササイズやヨガなどのサークル活動などが、この支援に含まれて欲しいと思っています。Q&Aには「特に具体的なプログラムの指定はない」と書かれているので、広くとらえて、これらのサークル活動も含めるべきでしょう。

バランスボールサークル(イメージ)

「親子関係形成支援事業の運用イメージ(案)」には、〇プログラムは、概ね5~8回(各回90分~120分程度)を目安に、原則4回以上の連続講座として実施すること。〇定員は10名程度を目安に、原則としてグループで実施すること。と書かれています。これはある程度の強制力があるものなのか、これもイメージ(案)であって、まったく強制力はないものなのかが不明です。私は、ここまで具体的な縛りはいらないと思っています。

ヨガサークル(イメージ)

これも対象が
〇親子の関係性やこどもとの関わり方等に不安を抱えている18歳未満のこどもを養育する家庭で、次のいずれかに該当する家庭の保護者及び児童とする。
① 保護者に看護させることが不適当であることが認められる児童のいる家庭及びそれに該当するおそれがある家庭。
② 保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童のいる家庭及びそれに該当するおそれのある家庭。
③ 乳幼児健診や乳児家庭全戸訪問事業の実施、学校等関係機関からの情報提供、その他により市町村が該当支援を必要と認めた家庭。
と書かれています。これもイメージ(案)なのか、対象を限定するものなのか不明です。

補助基準額はペアレントトレーニング1人当たり16,400円です。プログラムが5回開催だとすると、1回当たり3,280円の補助ということになります。

私は、これらの対象に該当するおそれがある家庭だろうが、おそれがない家庭だろうが、誰もが一緒にプログラムを受講できるものであるべきだと考えます。その中で、上記に該当する人の受講料を市町が補助するのなら良いと思いますが、上記に該当する人だけを集めたペアレントトレーニングは絶対開催しないで欲しいと思っています。

この対象に該当する人が年間10人いたとして、16万4千円。そのうち市の負担割合が1/4で4万1千円。このくらいの金額であれば2024年度から、すぐに予算計上して欲しいものです。

改正児童福祉法の試行に期待したいのだが…

2024年4月に施行される改正児童福祉法に期待をしたいのですが、この補助金が私たちのところに届くのは、そう簡単なことではありません。特に予算規模が大きなものは、まず静岡県が予算計上しなければ始まりません。さすがに予算計上をまったくしないということはありえませんが、静岡県内の全市町で一斉にやれるほどの予算は計上できませんから、まずは県内でモデルとして実施できそうな場所を数か所選んで実施することになると思います。その時に、島田市にはぜひ手を挙げて欲しいと思うのです。

施行されてすぐですから、それを受入れる準備が整っている市町はほとんどありません。だからこそ、先んじて実行するチャンスだと思います。「子育てのまち」を標榜するのであれば、島田市でも予算計上して、ぜひ手を挙げて欲しいものです。

※ 改正児童福祉法の資料が膨大なため、全てを理解してはいません。このブログの内容にも、もしかしたら誤りがあるかもしれませんが、いち早くお伝えしたかったので投稿させていただきました。

詳しくは下記のこども家庭庁のサイトをご参照ください。

令和4年6月に成立した改正児童福祉法について(こども家庭庁)

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